こんにちは。
この記事は「葬送のフリーレン」に登場する『フォル爺』というキャラクターについて、私なりの考察・解釈を紹介している記事となります。
誰かの考察・解釈が知りたいという方は、ぜひ最後まで読んでくださいね。
あくまで個人的な考えであるということを前提に楽しんでいただけると嬉しいです。
それでは、フリーレンとフォル爺のセリフをかいつまみながら考察していきます。
フォル爺について考察・解釈
考察するのは以下についてです。
・「フォル爺は冗談が上手いね」について
・魔王がいないことを知らないフォル爺
・フリーレンが魔王のことを伝えなかった理由
それではいきましょう。
フリーレンの考えるフォル爺がボケた振りをする理由
フリーレン目線から見た時に、フォル爺がボケた振りをしている理由を考えてみます。
まずは再開の場面から。
「はて、誰だったかな」
「葬送のフリーレン」:フリーレン・フォル爺より
「フリーレンだよ」
「そうだったな」
「まだボケた振りを続けているの?」
”まだ”の部分によって、以前からフォル爺はボケた振りをしていたことが分かります。
まず、フォル爺がボケた振りをしている理由について、フリーレン目線から考えていこうと思います。
理由は次のセリフに詰まっているのかなと。
「戦闘での死因の多くは油断だ
「葬送のフリーレン」:フォル爺より
魔族にも人にもこれが一番効く」
ボケた振りで相手の油断を誘い、一瞬のスキを突いて相手を倒す。
この手で、油断しきっていたシュタルクの足を突き、立てなくしていました。
そして、この戦法はフリーレンに通ずる部分があります。
フリーレンの戦闘スタイルは、魔力を制限して相手に魔力を誤認させ、油断のスキを突いて倒すというもの。
どちらも似ているスタイルだと分かります。
「相変わらず卑怯な戦法だね」
「葬送のフリーレン」:フリーレンより
自分と似た”卑怯”な戦闘スタイルを取るからこそ、「ボケた振り」は魔力を制限するのと同じように打算でやっている。
これが、フリーレンの考える「フォル爺がボケた振りをしている」と考える理由なのではないのかなと推察しました。
「フォル爺は冗談が上手いね」について
別れの前日に、2人で丘を登っていました。
そして丘へ行く途中で、フリーレンの80年前の回想が入ります。
その回想の中で、フォル爺は村を守る理由を言いました。
「儂は妻の愛した村を守っているだけだ」
「葬送のフリーレン」:フォル爺より
「人間だった」
「儂は遠い昔に交わした約束を果たしているにすぎん」
「だが、詳しく話すつもりはない。どうせあの女性の声も顔も眼差しも伝わらん。これは儂だけの思い出だ」
亡くなってしまった妻のために村を守っていること、そして、この時は顔も声も眼差しも覚えていることが分かります。
しかし回想後、フォル爺はフリーレンに言います。
「その勇者の顔は覚えているか?」
「葬送のフリーレン」:フリーレン・フォル爺より
「当たり前でしょ」
「声は?」
「私をバカにしないでよ。全部覚えている。ヒンメルは私が人間を知ろうとした切っ掛けだよ」
ここでは珍しく、フリーレンが感情を少し表に出しています。
この時のフリーレンからすると、ヒンメルとの記憶はまさしく自分を突き動かすきっかけで、そんな大事なことを忘れるはずがないと考えているのではないでしょうか。
そのため、普段よりも口調が強くなったのかなと。
ではフォル爺はどうでしょうか?
「そうか。切っ掛けか」
「葬送のフリーレン」:フォル爺より
「儂はもう思い出せない。顔も声も眼差しも」
「それでも儂は大切な何かのためにこの村を守っている」
反対にフォル爺はこの村を守っている切っ掛けも、妻の顔も声も眼差しも覚えていないことが分かります。
さらにアニメですが、この時に出てくる妻の描写は80年前の回想シーンと比べてぼやけており、まさしく記憶が欠落しかけていることが分かります。
それを聞いたフリーレンは、このように返答しました。
「…フォル爺は冗談が上手いね」
「葬送のフリーレン」:フリーレンより
額面通りに捉えるのならば、フォル爺は嘘をついていると考えているのかなと。
実際にフリーレンはヒンメルたちとの記憶を鮮明に思い出すことが出来ますし、1000年前のフランメとの記憶もあります。
だからこそ、忘れてしまうことに対してフリーレンは理解が出来なかった。
しかし、遠い未来では自分もそうなってしまうのではないかという戸惑いがでてしまったのかなと。
現にアニメでは、少し言い淀んだ言い方をしていました。
また、少し気になったのは返答までに間があったことと、なぜ「冗談」という言葉を使ったのかです。
再開時の会話を汲むなら、「ボケた振りが上手いね」でも良いとは思いませんか?
私はこの「冗談が上手いね」には、フリーレンの気遣いが込められているのではないかと考えています。
まず、フォル爺は忘れてしまった妻との思い出を「大切な何か」と捉えています。
つまり、忘れる前はこのような状態だったのではないでしょうか。
「妻との思い出=大切なもの」
そして記憶としての妻との思い出は忘れてしまいますが、「大切なもの」という想いだけが残っていることから、フォル爺の頭の中はこのような状態となっているのかなと。
「?=大切なもの」
このように、思い出は忘れても想いが残っていることが分かります。
そんな妻との思い出を大切にしているフォル爺が、果たして「ボケている振り」をしている時、思い出せないと言うでしょうか?
ましてや相手は長寿友達のフリーレンですし、初めて会った人間であるヒンメルに対して、自虐で「滑稽だろう」と言った事とはわけが違います。
しかし、80年前のような言葉は出てこないため、打算ではなく本当にボケてしまった可能性がフリーレンの頭の片隅に残った。
だからこそ、返答までに間が空いてしまい、「ボケた振りが上手いね」ではなく、ある種気遣いとも言える「冗談が上手いね」という言葉を使ったのではないかと解釈しました。
魔王がいないことを知らないフォル爺
「ついに魔王を倒しに行くのか」
「葬送のフリーレン」:フリーレン・フォル爺より
「ところでお前達の旅の目的地はどこなんだ?」
「魂の眠る地を目指しているよ」
「それはどこだ」
「エンデ。魔王城がある場所だよ」
「そうか。ついに魔王を倒しに行くのか。平和な時代が訪れるといいな」
孤独だったのか、ボケてしまっているのか。
ここは解釈が分かれる部分だと思いますし、物語の構成上、どちらとも捉えることができます。
私は、フォル爺が「ボケてしまったから」魔王のことも忘れてしまったという解釈をしました。
理由は個人的な考えになってしまうのですが、この回は忘れてしまうことや忘れてしまってもなお残されている想いというものにフォーカスを当てていると思うからです。
私のこの考えは、先ほど引用したフォル爺のセリフから来ています。
「そうか。切っ掛けか」
「葬送のフリーレン」:フォル爺より
「儂はもう思い出せない。顔も声も眼差しも」
「それでも儂は大切な何かのためにこの村を守っている」
そしてフリーレンが魔王のことを伝えなかった理由も、ここに込められていると考えています。
フリーレンが魔王のことを伝えなかった理由
理由としては、フォル爺に残された大切な何かを尊重してあげたかったからなのかなと考えています。
この「大切な何か」とは、亡き妻との思い出でありきっかけです。
フォル爺にとって大切な何か、つまりきっかけはとても大事なこと。
そして、フリーレンも同様にヒンメルとの思い出、すなわち、きっかけは大事なものだと認識しています。
「ヒンメルは私が人間を知ろうとした切っ掛けだよ」
「葬送のフリーレン」:フリーレンより
「フォル爺が村を守ろうと思った切っ掛けと同じで、大切なことだ」
しかし、魔王がいなくなったという報告は、亡き妻とのきっかけに突き動かされて生きているフォル爺の今を否定してしまうことになります。
だからこそ、
「フォル爺の記憶も私が未来に連れて行ってあげるからね」
「葬送のフリーレン」:フリーレン
このセリフを伝えた。
大切なきっかけを抱えているフォル爺の持つ記憶と共に生きていくことで、フォル爺が亡き妻との約束を果たし続けていることになりますし、フォル爺はフリーレンの中で生き続けます。
このように、フォル爺が大切な何かに突き動かされているからこそ、その人生を尊重するために「魔王はもういない」ということを伝えなかったのかなと。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回は「葬送のフリーレン」に登場する『フォル爺』について作中のセリフを引用しながら、私なりの考察や解釈を書いていきました。
あくまで個人の考えであるため、こんな考えもあるよね程度で楽しんでいただけたら嬉しいです。
個人的に色々な解釈ができるこの回は、すごくお気に入りの回です。
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