皆さんこんにちは。
この記事では私が「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」を見て思ったことや考察を書いている記事となります。
個人的な解釈ということを前提に楽しんでいただければと思います。
それではいきましょう。
燈と「春日影」
自分だけ泣けないのは、心が冷たいからなのか。
他人とズレていることに気付いてから、誰かを見る目はいつも震えていて下を向いてしまう。
みんなといたいのに、みんなと一緒にいればいるほど、心は独りになってしまう。
ダンゴムシの様に石の下に隠れている燈の居場所は「影」でした。
「人間になりたい」
誰かに見せることもないのに、ただノートに書き殴るだけの毎日に虚しさを覚えながらも、まるで救いを求めるように出口の見えない「心の叫び」を書き殴ります。
春は出会いと別れがやってくる季節ですが、燈にとっての春は自分が孤独だと痛感する季節。
出会いも別れもなく世界から冷たくあしらわれていました。
しかし、祥子との出会いによって燈に春が訪れます。
祥子は燈を覆いかぶさっていた分厚い雲を抜け、温かい「日」の元に連れていきました。
祥子と出会ってCRYCHICを結成し、初めて燈は人間になれた。
カラオケで思わずこぼれた笑み。
ようやく人間になれた燈は心が満たされたからこそ、自然に頬がゆるみます。
頬を伝っていく涙、大事を見つけ心から幸せになれた燈は初めて笑えるように。
人間になれた燈の居場所は「影」から温かい「日」のあたる世界になりました。
CRYCHICは燈が人間でいられる居場所。
まさに春日影は、燈がCRYCHICを結成して感じることのできた「心の叫び」なのでした。
愛音の優しさ
いきなりですが、本作で物語を大きく動かした人物は誰だと思いますか?
そうです!千早愛音ちゃんです。
燈をバンドに誘ったり、元CRYCHICメンバー3人を集めて議論させたり等々。
彼女の存在によって物語は大きく進んでいました。
台風のように周りを巻き込む彼女はまさに主人公。
実際に、愛音が主人公と思っていた人も多かったのではないでしょうか。
さて第1話、愛音は「自分が目立ちたい」という目的で燈をバンドに誘います。
しかし、バンドを辞めている燈に対して
でも、またダメにならないように頑張ればよくない?
「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」第1話:千早愛音
1回ダメになってもやり直せるって思わないと…
このように励ますのですが、このセリフはそっくりそのまま愛音にも当てはまるんですよね。
自分と重ねながらも、燈を前向きに励まそうとする姿が「たぶん本心なんだろうな~」と印象的で、愛音は裏なく人に手を差し伸べられる人間なのだと思いました。
例えば立希を学校で追いかけまわすシーンもそうです。
作曲から逃げてしまった立希を、昨日の今日じゃ来づらいだろうからと気遣って、学校へ探しに行きます。
来づらいだろうと考えてほっとかず、自ら行動して居場所をつくろうとする行動力。
他にもそよの本心を知ったにもかかわらず、拒絶されても凸して付いていく度胸。
「ムカついたけど、そよさんも人間なんだなぁと思って」
「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」第10話:千早愛音
聖人のような態度と自己中心的な二面性。
後述しますが、聖人のような振る舞いをしているそよは孤独でした。
しかし、「そよさん”も”」という部分で自己中心的なそよも認めていることが分かります。
心が孤独なそよに対して、居場所をつくろうとしているように思いました。
何が言いたいのかというと、彼女は裏表なく人に手を差し伸べられる優しさがあるのです。
そよは「MyGO!!!!!」で何を手に入れたのか
他メンバーと同じく、そよにも居場所はありませんでした。
相手の機嫌を伺って周りに合わせる性格ですが、それは誰かに必要とされることで寂しさを紛らわせたかったから。
しかし、誰かといても心は満たされず心は独り。流れるのは空虚な時間でした。
周りに合わせるという部分で、燈の「人間になりたい」に通ずる部分がありますね。
祥子に誘われてCRYCHICを結成し、そよは居場所を見つけることができましたが、おそらく誰かといて初めて独りじゃないと思えたのではないでしょうか。
ですが、唐突な終わりの宣言。そよにとって初めての居場所だったCRYCHICはあっけなく終わりを迎えてしまうのでした。
ただ、そよは「すれ違ってしまっただけ。あんなに楽しかったんだから、みんなだって復活を望んでいる!」と考えており、周りの人間を使ってあの手この手でCRYCHICの復活を試みます。
何とか祥子との話し合いに辿り着きますが、突きつけられたのはCRYCHICに戻ることはできないという悲惨な現実。
そして、「あなた ご自分のことばかりですのね」と祥子に本質を見透かされます。
CRYCHIC復活を望んでいたのは自分だけだったという孤独感がそよを襲います。
誰かのために生きてきたそよにとって、この言葉は堪えたはすです。
もしかすると、自己中心的な自分の醜さに気付いてしまったのではないかなと思っています。
祥子に必死に縋る姿が心にズキズキきました。
自分の醜い部分にも気づき、CRYCHIC復活が二度とないならバンドなんてやっても意味ないため、全部を諦めようとします。
それでも、MyGOメンバーは手を離そうとしません。
拒絶しても付いてくる愛音に対して「だったら私が終わらせてあげる」と言い、宣戦布告。
しかし、燈に無理やり引っ張られてステージに上がらされます。
そして、ありのままの自分が必要だと伝えられるのです。
あのライブのそよの涙、言葉にするのが難しいですが「あんなにひどいことを言って利用したのに、ありのままの自分を見捨てずに待っていてくれた」。
居場所を見つけた安堵感や温かさを感じていたのではないかと思っています。
ですが同時に、CRYCHICへの未練もあったのかなと。
だからこそ、歩道橋の燈との会話にあったCRYCHICを忘れることはできない発言にも繋がります。
頑固な燈に負けたそよ。
MyGO!!!!!でバンドをしていくということは、自分の黒い気持ちにも向き合わなければいけないということ。
燈の剥き出しの歌詞「みんなといるのにひとりみたいな」は、そよも感じていた孤独の気持ちです。
あの歌詞を肯定してしまうと、今までの生き方が間違いだったと思い知らされてしまいます。
そよにとって、今まではそれが怖くて仕方なかった。
だから燈の歌詞は好きじゃありませんでした。
ですが、燈の歌詞はそよの叫びでもありました。
なんていうか、いつも剥き出しでしょ。
「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」第13話:長崎そよ
祥ちゃんは燈の叫びだって言ってたけど、たぶん、わたしの叫びでもあったの。
燈ちゃんとバンドするって、そういうのと向き合うってことだから、けっこうやばいんだよ。
「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」第13話:長崎そよ
そういうの=「受け入れてもらうために必死で愛想良くするが、それは偽善者だと考え始めてしまって死にたくなってしまう嫌な気持ち」。
そよは自分の気持ちに向き合えませんでした。
なので、答えが分からず孤独だけが心に残っていた。
でも今は、ありのままの自分を受け入れてくれるバンドに出会えたから独りじゃない。
恥ならすでにあのライブでかいています。
だからこそ、自分の気持ちに向き合う決心をし、一生バンドをしていくと誓った。
つまり、MyGO!!!!!でそよが手に入れたのは、自分の気持ちに向き合う「覚悟」なのではないかなと考えています。
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