こんにちは。
この記事では改変シーンについて色々と考察している記事となります。
物語の根幹に関わるネタバレをしています。
まだ見ていないという方は注意してください。
私は原作の展開もアニメの展開も大好きです。そこはご留意ください。
「響け!ユーフォニアム3」原作改変シーンについて
麗奈にとっての正しさ
久美子は正しい人になりたいと言います。
では正しい人とはなんなのか、滝先生は「皆に平等な人」だと言います。
久美子は部長として、平等を貫く正しさを求めました。
では麗奈は何だろうと考えると、「音に平等な人」なのかなと。
麗奈は一貫して実力主義を掲げ、ドラムメジャーとして北宇治の音を導いてきました。
一方で、隠された演奏からでも久美子の演奏を聞き分けられるほど、久美子とソリを吹くことに強いこだわりがあります。
2年前のオーディション、2人は音で決めると決意し、北宇治の実力主義を完全なものとしました。
実力主義は2人の誓いであり、音に平等でありたい麗奈が求めた正しさでもあります。
もし、今回のオーディションで久美子を選んでしまうと、2年前の誓いも特別になりたい麗奈の思いも北宇治の実力主義も、すべてを裏切ることになります。
音に平等でありたいという正しさを求めたからこそ、真由を選びました。
この決断はソリを吹きたい願いは叶わないが、誓いは守られるという残酷なものです。
ですが、久美子を選ばなかったことで2人の特別はソリという枠内を超えたものになったはず。
久美子を選ぶと「久美子を贔屓目で見ているのでは?」という疑念が生まれますが、真由を選んだことによって麗奈の求める正しさに説得力が生まれます。
何とも残酷ですが、変わらない麗奈のまっすぐな心を描いているシーンだと考えています。
2人のソリの違い
まず真由のソリですが、麗奈のトランペットを包み込んでいると思いました。
一歩引いて支えているような音色で譜面をなぞるように吹いています。
ユーフォとトランペットが合わさって一本線になっているイメージでまさに調和を大事にした演奏でした。
反対に久美子は感情が存分に乗った音色です。
音が麗奈と並んでいて、真由以上に主張がありました。
イメージとしてはユーフォのソリ、トランペットのソリという風に区別された二本線になっているイメージです。
調和を選んだ真由
さて、真由ですが作中でこのようなことを言われています。
「上手いというか、勘が良い」
「響け!ユーフォニアム3」:高坂麗奈
「滝先生の求める音をすぐに理解してそれに合わせて吹くことが出来る」
このセリフから、演奏で自分に求められている音を理解して演奏できることが分かります。
また滝先生のセリフで
「釜屋さんは確かに拙いですが音量は素晴らしい」
「響け!ユーフォニアム3」:滝昇
「全体のバランスを考えると、彼女の音は魅力的だと考えました」
音量なども考慮していることを見るに、滝先生自身も全体のバランスを大事にしていることが分かります。
そして、真由がオーディションで吹いたのは、調和を念頭に置いた演奏でしたよね。
真由が調和を大事にしたソリを吹くということ=滝先生が演奏で音のバランスを大事にしていることに結びつきます(意図を汲み取っているという意味で)。
つまり、真由の演奏が滝先生の求める音に近かったという事です。
そのように考えると、一年の詩のソリにはユーフォは主張を控えめにして、トランペットを支える主旨があったのだと考えられます。
さらに、12話で真由が演奏に真摯に取り組む人間であるということも分かります。
一年の詩で求められる音が、トランペットを支える音だと理解しているからこそ、その範囲内で自分の持つ最大限の演奏をしました。
また、真由はどうして自分の吹くべき音が分かるのかを考えた時、キービジュアルにもあるように「合奏が好き」だからだと考えています。
合奏が好きだからこそ、吹いて欲しい音を正確に察することができる。
では久美子はなぜ正反対の演奏をしたのでしょうか。
感情を込めた久美子
麗奈を知って
「麗奈を知って、私は変わった」
「響け!ユーフォニアム3」:黄前久美子
久美子と真由の違いは麗奈に出会ったかどうかです。
また、オーディション前のセリフで印象に残っているものがあります。
「あの時の気持ちを…3年間信じてきたことを裏切りたくない」
「響け!ユーフォニアム3」:黄前久美子
「これは私のワガママ」
「だから今日、私は私の全てで吹くだけ」
このセリフから、あの演奏には北宇治で過ごした久美子の全てが込められていることが分かります。
キービジュアルにもありますが、久美子は「北宇治が好き」なのです。
麗奈たちと過ごした北宇治の3年間はとても濃いものでした。
そんな日々を過ごした3年間、感情を表に出すなという方が難しいはず。
3年間を過ごした日々のこと、3年前のあの決意を裏切りたくない、上手くなりたいと願い、麗奈の横に並び立とうした感情が演奏に込められたと考えています。
もう一つのタイトル回収
「響け!ユーフォニアム」というタイトルは、あすか先輩の父親が作った曲のタイトルで、それがタイトル回収となりました。
ですが私は、今回の久美子の演奏も、もう一つのタイトル回収だと思っています。
この「響け!」の部分にはどんな意味があるのか。
あすか先輩が辞めるかどうかの瀬戸際で心を動かしたのは久美子の感情でした。
「羨ましいなぁ、響いたんだよ」
「響け!ユーフォニアム3」:中世古香織
人の心に響くのは感情です。
久美子が学んだことは、自分の感情を伝えること。
オーディションでも、響いたのは久美子の感情でした。
そして皆さんにも久美子のユーフォニアムの音色が響いたはず。
感情を乗せた久美子の演奏は間違いなく「響け!ユーフォニアム」を体現していました。
だからこそ、感情を込めた演奏がもう一つのタイトル回収であると考えています。
まとめ
今回は「響け!ユーフォニアム3」で巻き起こった大きな原作改変シーンについて色々考察や妄想を書いていきました。
個人的にどちらの物語も大好きなのですが、アニメで見る限り今回の改変はとても説得力があると感じます。
原作もアニメもどちらも違った展開を楽しめるというのは、ユーフォの魅力と言っても過言でありませんね。
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